今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。
「るいに対しての恋愛感情はずっと前からない。るいの兄貴が亡くなったのを聞いて、あいつは精神的に弱いところがあったから、俺がそばにいてやらなきゃってとっさに思った」
「……」
「俺の親父は、俺が小学生のときに病気で亡くなって……明るかったお袋が、飯も食わずに弱っていくのを俺はそばで見てた」
「……」
「それを経験してたから、るいがお袋と同じようになるのが嫌だったのかもしれねぇ」
「……」
「あの頃まだ小学生でなにもできなかったお袋への償いなのかもしれない……」
「……」
「俺が恋人のふりをして、そばにいるだけでるいの気持ちが楽になるんだったらそばにいてやろうって……完全に自己満足だよな」
暁が周りの人に対して優しいのは分かっていたけど、小学生の頃から思いやることができていたんだ……。
辛い経験をしたからこそ、今度は誰かの役に立とうと思ったんだね。
しかも、それを行動に移すなんて……なかなかできることじゃない。