今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。
とりあえずなにごともなければいいと……ただ家に無事に帰れさえすればいい。
今まではそう思っていた。
好きな人がいるだけで、こんなにも世界は広がるんだ……。
家に着くまでの時間をいつもは長く感じていたのに、今日はあっという間に感じられた。
「……送ってくれて、ありがとう」
「あぁ」
なんでだろう……家の中に入りたくない。
家が大好きだから、いつもは急いで鍵を開けるくらいなのに……。
暁と、離れたくないって思ってしまう。
「……どうした」
「え?あ、ううんっ。なんでもないよっ」
こんな欲張りな部分を知られたら嫌われちゃうかもしれない……。
私は必死に自分の気持ちを隠した。
だけど、なにやら私の異変に気づいた様子の暁は、私の顔を覗き込むようにしてジッと見つめてきた。
近い、近い、近いよー……っ。
暁の男っぽい匂いがして、私の鼓動は早くなった。