今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。


シミュレーションでは、ここで暁が「なんで?」「なんかあんの?」と聞いてきて、そこで私が「実は私の誕生日なの」って言うはずだった。



「どこ行きてぇの?」



だけど、現実はシミュレーション通りにいくはずもなく……。



これじゃあ、誕生日ってワードを言えない……!



それを1番伝えたいのに!



どこかに行きたいと言っておきながら不審にモジモジする私を、暁は怪訝な目で見ていた。



「あ、あのね……」



どうしよう、どうしよう……。



あれだけ沙良ちゃんに考えてもらったのに、まったく意味がなくなってる。



引き止めておきながら、なかなか口を開かない私に痺れを切らした暁は、再び私に近づいてきた。



優しく私の顎に触れて、少し顎を上げたあと……「なんか言いたいことあんなら、さっさと言え」と、不機嫌オーラ全開で言われた。



私があまりにもはっきりしないから、さすがに暁もイラッときたらしい。



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