今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。


「あの、これ落としました……?」



ネックレスを見ていると、突然後ろから声をかけられた。



男の人の声だったので、恐る恐る振り返ってみると……男の人が、少し離れたところから淡い紫色のパスケースを差し出してきていた。



ぱっと見私のパスケースに似ていたので、慌ててカバンの中を探した。



探してもパスケースが見つからず、その人が持っているのは私のということになった。



「私のです……」

「やっぱり!落ちたのが見えたんだけど、人がすごくてなかなか追いつけなくて……っ。でも、よかった」



顔を上げたその人は、少年のようにくしゃっと笑った。



明るい茶色のパーマがかった髪の毛に、二重幅の広いくりくりな大きな目。



まるで女の子のような可愛い顔立ちに、男の人なのにも関わらずジッと見てしまった。


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