今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。
「……あの、ありがとうございます。助かりました」
「いや、全然!失くしたら困るもんね!」
「はい。わざわざ届けにきてくださってありがとうございました……」
深々とお辞儀をする私に、その人は「顔上げて上げて!」と言った。
「……誰?」
どす黒い声がその人とは反対方向から聞こえたと思ったら、すぐ近くに暁が立っていた。
眉間にシワを寄せ……なんだか機嫌が悪そう。
暁、もしかして怒ってる?
「さっき私がパスケースを落としちゃったみたいで、それを拾ってわざわざ追いかけてきてくれたの」
「……おまえ、気をつけろよ」
「本当そうだよね!気をつけます」
暁はその人の方を向き、軽く頭を下げ「ありがとうございます」と言った。
「いやいや!じゃ、俺はこれで!」
くるくるパーマのその人はそう言ってその場から立ち去った。
それでもまだ、機嫌が悪そうな暁。