今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。


それより、これはすぐに手当てをしなきゃいけないよね。



「あの……よかったら、手当てしましょうか?」

「手当て?」

「はい。すごく怪我されてるみたいなんで……」



自分でそう言いながら、ハッとした。



私、何言ってるの……?



男の人が苦手で触ることはおろか、近寄ることも目が合うことも無理なのに、手当てをするなんて……。



どんなに優しいと分かっていても近寄ることはできないし、触れると拒否反応を起こしてしまう。



普段ならそうなのに………私は今、自分が男性恐怖症であることを忘れていた。



悪魔のようなその人が近くにいるにも関わらず、なぜか嫌悪感を抱かない。



……こんなこと、初めてだ。



それがどういうことを意味するのか、その時の私には理解が出来なかった。


< 36 / 385 >

この作品をシェア

pagetop