今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。
それより、これはすぐに手当てをしなきゃいけないよね。
「あの……よかったら、手当てしましょうか?」
「手当て?」
「はい。すごく怪我されてるみたいなんで……」
自分でそう言いながら、ハッとした。
私、何言ってるの……?
男の人が苦手で触ることはおろか、近寄ることも目が合うことも無理なのに、手当てをするなんて……。
どんなに優しいと分かっていても近寄ることはできないし、触れると拒否反応を起こしてしまう。
普段ならそうなのに………私は今、自分が男性恐怖症であることを忘れていた。
悪魔のようなその人が近くにいるにも関わらず、なぜか嫌悪感を抱かない。
……こんなこと、初めてだ。
それがどういうことを意味するのか、その時の私には理解が出来なかった。