今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。
悪魔は、「ってぇ……」と痛がりながら公園の外壁に重そうに腰を下ろした。
そして、ゆっくりと私のことを見上げてきた。
「俺のこと、怖くねぇの?」
もっともな質問だと思った。
血がついて怪我をしていて、明らかにこの人に負けたであろう人たちが倒れている。
いつもだったら、怖がる。
目が合った時点で、逃げていると思う。
怖くないって言ったら嘘になるけど、純粋に怪我をしてたから手当てをしなきゃと思った。
……ただ、それだけ。
「怖くないです。それより、手当てどうしますか?」
「いらねぇ。そのうち治る」
あっさりと手当てを断られ、悪魔に袋を持っていない方の腕を掴まれ引っ張られた。
さらに距離は近くなり、今まで感じたことがないくらい鼓動が速くなるのが分かる。
近い、近い、近い……っ。
そう思うんだけど、やっぱり嫌な気持ちにはならない。
……悪魔のグレーがかったアッシュの髪の毛に、思わずきれいだと思ってしまった。
そして、さらに顔が近づいたあと……彼の唇が、優しく私の唇に触れた。