今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。
触れたのは一瞬で、しばらく私は放心状態だった。
そんな私に悪魔のようなその人は、「アイスのお礼」と、その言葉だけを残して……夜道の中へと消えていった。
いったい何が起こったのかすぐに理解することができず、どうやって家に帰ったのか覚えていない。
「心優!」
気付いたらリビングのソファーに座っていて、パパの声で我に返った。
「大丈夫か?なんかあったのか?」
あまりにも、私が心ここにあらず状態すぎて、みんなで心配していたらしい。
けど、正直に悪魔に会ったことを言えるはずもなく……。
「転校初日で、緊張してたから疲れちゃって……そろそろお風呂入って寝ようかなぁ」
そんな、とっさに思いついた嘘で、なんとか切り抜けることができた。