今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。
不器用な悪魔
日にちは過ぎ……あっという間に夏休み前日。
学校は修了式と短いホームルームだけで終わり、私は沙良ちゃんと学校近くのカラオケへ来た。
私は小学生の時以来のカラオケで、久々に思いっきり歌い、楽しさで時間が経つのも忘れていた。
カラオケに来て1時間半が経った頃………沙良ちゃんは飲み物を入れに部屋をいったん出た。
部屋の外から沙良ちゃんの声が聞こえ、戻ってきたんだと分かったが……聞こえたのは明らかに沙良ちゃんだけの声じゃなかった。
「しつこいって言ってんじゃん!いいから早く手離してよ!」
「ちょっとでいいって、話すだけでいいからさ」
「少しくらいいいじゃーん」
ドアが曇りガラスでできてるから姿がはっきり見えるわけじゃないけど、声とシルエットからして、沙良ちゃんと話している相手が"男"なのは分かった。
一瞬で手汗をかき、だんだんと呼吸がしづらくなっていく。