今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。

「あ、き……」



気づけば名前を口にしていた。


暁と目が合い、たぶん、それで安心したのかもしれない。



涙がゆっくりと流れ、呼吸も不思議と落ち着いた。



「誰だ、てめぇ……」



沙良ちゃんを押し倒していた男は沙良ちゃんから離れ、いきなり入ってきた暁に近づき、今にも殴るんじゃないかとハラハラした。



……のも束の間、暁の方が体格も背も圧倒的に大きく、男は暁の目の前で一度止まった。



「てめぇこそ誰だよ。今すぐ消えろ」



いつも以上に声が低く、よく聞かないと聞き取れない。



男は暁の威圧感とオーラで何かを悟ったのか、「おい!行くぞ!」と、いまだに私の肩に腕を回したままの男に声をかけた。



< 59 / 385 >

この作品をシェア

pagetop