今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。
「私、お化け屋敷……苦手で……」
「……」
「どこか、掴んでてもいい……?」
勇気を振り絞ってやっと出たのは、蚊の鳴くような小さい声。
さすがに、お化け屋敷の中をすべて1人で手ぶらで歩くのは厳しい。
かといって、手をつなぐのも無理……。
ならば、服のすそでいいから、掴ませてくれたら嬉しい。
そんな気持ちで出た言葉だったんだけど……。
「好きにしろ」
「……う、うん。ありがとう……」
恐怖心をなくすために頼んだのに、いざそう言われて服のすそを掴んでみると、妙に服に触れる手が熱を持った気がして……
まだお化け屋敷は始まってもないのに、心臓の鼓動の音が大きすぎてどうにかなりそうだった。
案の定、扉を開けて早々、大きな音やお化けたちのおかげで、恐怖から私は目を開けることができなくなった。