今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。


「私、お化け屋敷……苦手で……」

「……」

「どこか、掴んでてもいい……?」



勇気を振り絞ってやっと出たのは、蚊の鳴くような小さい声。



さすがに、お化け屋敷の中をすべて1人で手ぶらで歩くのは厳しい。



かといって、手をつなぐのも無理……。



ならば、服のすそでいいから、掴ませてくれたら嬉しい。



そんな気持ちで出た言葉だったんだけど……。



「好きにしろ」

「……う、うん。ありがとう……」



恐怖心をなくすために頼んだのに、いざそう言われて服のすそを掴んでみると、妙に服に触れる手が熱を持った気がして……


まだお化け屋敷は始まってもないのに、心臓の鼓動の音が大きすぎてどうにかなりそうだった。



案の定、扉を開けて早々、大きな音やお化けたちのおかげで、恐怖から私は目を開けることができなくなった。


< 91 / 385 >

この作品をシェア

pagetop