王子様の探し方
小太郎と教室から一緒に出て屋上に向かう。
別に屋上に行こうとも言ってないし


屋上に行きましょうよとも言われてないけど二人の進行方向は同じだった

「書いてきてくれましたか?」


「書いたよ、はい」


冷たい風が吹き抜ける屋上で小太郎に紙切れを渡した


「書いて無いじゃないですか」


「ほしいものないから」

小太郎が空に紙切れを差し出しているのを見ながらほしいもの……ない。と再確認した


しばらく真顔でみてた小太郎だったけどふいに
ふっと笑った


「先輩、王子様さがしますか一緒に」


目を見開いた私に紙切れを握らせながら、どうするんですか?と聞いてきた


「王子様なんて絶対いない」


「探さないとわかりませんよ、じゃあ放課後待ってますから」


「え……」


階段をとばしとばしに降りながら意味ありげな顔を私に残して教室へ帰っていった


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