レンタル彼氏 Ⅱ【完結】
芯の通った鈴恵さんの声。
「死ぬ、理由の方がないわよ」
「ある、あるよ」
「誰もが生きる理由を持ってるのよ」
「……わからない!だって、俺の所為で俺がいた所為で運命狂わせた奴たくさんいるんだ!
俺が、いなきゃ、いなければきっと、みんな幸せだったんだっ」
そうすれば、母さんも死ななかった。
そうすれば、美咲さんと店長が喧嘩することもなかった。
そうすれば、りさが通報することもなかった。
そうすれば、泉が俺に出会うこともなかったんだ。
パシンっ!
乾いた音が響く。
痺れる頬。
鈴恵さんは、涙を流していた。
「……す、ずえさ……」
「何を言うの!」
「……………」
鈴恵さんの、涙を俺は初めて見た。
鈴恵さんが、誰かに手を上げるのを初めて見た。
いつだって、笑顔で。
何が起きても笑顔で。
「私は伊織がいて幸せなのよ!」
「!!」
「初めて伊織を見て、それからずっとずっと私は伊織の母親だと思っていたわ!」
「……………っ…」
「伊織は、もうたんぽぽ院の家族でしょ?
必要ないわけ、ないじゃない!」
「死ぬ、理由の方がないわよ」
「ある、あるよ」
「誰もが生きる理由を持ってるのよ」
「……わからない!だって、俺の所為で俺がいた所為で運命狂わせた奴たくさんいるんだ!
俺が、いなきゃ、いなければきっと、みんな幸せだったんだっ」
そうすれば、母さんも死ななかった。
そうすれば、美咲さんと店長が喧嘩することもなかった。
そうすれば、りさが通報することもなかった。
そうすれば、泉が俺に出会うこともなかったんだ。
パシンっ!
乾いた音が響く。
痺れる頬。
鈴恵さんは、涙を流していた。
「……す、ずえさ……」
「何を言うの!」
「……………」
鈴恵さんの、涙を俺は初めて見た。
鈴恵さんが、誰かに手を上げるのを初めて見た。
いつだって、笑顔で。
何が起きても笑顔で。
「私は伊織がいて幸せなのよ!」
「!!」
「初めて伊織を見て、それからずっとずっと私は伊織の母親だと思っていたわ!」
「……………っ…」
「伊織は、もうたんぽぽ院の家族でしょ?
必要ないわけ、ないじゃない!」