レンタル彼氏 Ⅱ【完結】
渦…聖
俺がコンビニから戻ると、もう伊織はいなかった。
…………。
少し、捲れている布団を見て口が自然と弧を描く。
腹の底から笑いが止まらない。
泉。
今、伊織がいたって言ったらどんな顔するだろうね?
伊織。
今、泉と付き合ってないって言ったらどんな顔するだろうね?
すれ違って、傷付いて。
諦めたらいい。
俺の、父さんと母さんは苦しんだんだ。
…………伊織の、実の父親の所為で。
苦しんだらいいんだ。
父親への恨みを、子供であるお前が受け継げばいい。
それに。
ただ、近くにいるだけでよかった、あの人を遠くに離してしまったんだから。
だから。
両思いの二人も、引き裂かれたらいいんだ。
無表情で泉を見下ろすと、はだけさせた衣服を整える。
こんな、奴。
肌を見ても欲情なんてしない。
だけど、隣で寝てやるよ?
俺自身の復讐の為に。