レンタル彼氏 Ⅱ【完結】
………泉は泣いていた。
慌てた俺は泉の前に座ると、泉の頬を掴む。
「ど、どうした?!」
その言葉に、泉は奥歯をギリっと噛みしめる。
「ご、ごめっ、何かした?!」
俺、何かした?
さっきのキス?
それだけ?
わからない、泉の泣く理由が。
「……ち、がっ、う、れしくてっ」
震える声で泉は言うと、俺から視線をずらした。
…嬉しい?
ポロポロ流れ落ちる涙を、掬ってから俺は力任せに泉を抱きしめた。
「ふぇ、伊織、私も好き」
着替えたばかりの洋服が、泉の涙で濡れたけどそんなんどうだっていい。
そんな、シミすら俺は愛せる自信がある。
…離れてる期間が長過ぎた俺と泉は。
当たり前の様に交わされる言葉も。
当たり前の様に触れ合える環境も。
その、一つ一つがキラキラしていて。
目を細めても、眩むほど輝いていたんだ。
些細なことでも涙してしまうのは、涙腺が脆くなっているだけじゃない。
現実と幻の狭間で、まだ彷徨ってしまうから。
そして、これが現実なことが、ただ嬉しいから。
慌てた俺は泉の前に座ると、泉の頬を掴む。
「ど、どうした?!」
その言葉に、泉は奥歯をギリっと噛みしめる。
「ご、ごめっ、何かした?!」
俺、何かした?
さっきのキス?
それだけ?
わからない、泉の泣く理由が。
「……ち、がっ、う、れしくてっ」
震える声で泉は言うと、俺から視線をずらした。
…嬉しい?
ポロポロ流れ落ちる涙を、掬ってから俺は力任せに泉を抱きしめた。
「ふぇ、伊織、私も好き」
着替えたばかりの洋服が、泉の涙で濡れたけどそんなんどうだっていい。
そんな、シミすら俺は愛せる自信がある。
…離れてる期間が長過ぎた俺と泉は。
当たり前の様に交わされる言葉も。
当たり前の様に触れ合える環境も。
その、一つ一つがキラキラしていて。
目を細めても、眩むほど輝いていたんだ。
些細なことでも涙してしまうのは、涙腺が脆くなっているだけじゃない。
現実と幻の狭間で、まだ彷徨ってしまうから。
そして、これが現実なことが、ただ嬉しいから。