ねえ、キミの気持ちを教えて?
森田っていう男。
「いらっしゃいませ~」


私は、高校1年生のころからコンビニで働いている。
バイト先にはもちろん男もいて、でもみんな優しくしてくれて、話すか話さないかっていったら話さないけど、仕事に支障はきたさない程度。
まあ、ゆる~く働いています。


「山崎さん、もう9時だから上がっていいよ!」


「あ、分かりました。お先失礼します、お疲れ様です。」


そういって事務所で学校がえりのままの制服に着替えて帰り路を歩いていた。
外は少し肌寒くなってきた。そろそろマフラー出さなきゃなあ。
そんなことを考えながら、家の門に手をかけようとしたとき。


「山崎!」


振り向けば、1ヶ月ぶりくらいの姿。
ウィンドブレーカーにネックウォーマーを身に着けた、森田がいた。


「森田…。寒いのにがんばるね。」


こんなに寒い中を結構なスピードで走っていたのか少し息を切らせていた。
ちょっとタンマ。といって深呼吸を繰り返す。


「おまたせ!いやあ、中間テストの勉強のせいで全然走ってなかったからさあ…体力落ちちゃったかも~ショックだわ~~。」


いつもの爽やかな笑顔とはまた違った苦笑い。
そんな笑顔でさえも魅力的だと感じてしまった。

「また、がんばればすぐ体力くらいつくよ。」


「そうだよな。うん。まあ、時間がかかっても、毎日がんばって走りこむわ!」


「その調子!」


返事をする代わりに、いつもの笑顔で頷いた。
どきっと胸が高鳴った。
あれ?私、森田なんかにどきってするなんて…。ってきっと前ならそう思っていただろうな。
今は森田と話すのがとても楽しい。

ずっと一緒にいたいな。

ねえ、そんなことを願っては、わがままって言われちゃうかな?


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