ユビキリ。
1:追憶。
県境の緑に濁った川は、
ゆったりと流れている。
じっと見つめても、
どちら側に流れているのかわからない。
ただ、
どちらかは海で、
川は海のほうに流れていくんだろうという事は知っていた。
川にかかった橋の上を、
引っ切りなしに電車が通り過ぎていく。
川辺にはススキと雑草の茂みがあって、
ゴミだらけだった。
私は、そこにいた。