ユビキリ。
6:ズットイッショ。
私は欄干に寄り掛かって、
川を見下ろした。
深緑の水が、流れている。
排気ガス臭い。
私は、
母が供えた花に封筒をさした。
煙草を一本くわえて、
火をつけようとしてやめた。
せっかく久しぶりに会うのに、
怒られたらたまらない。
私は靴を脱いで、欄干をまたいだ。
躊躇なんてまったくしなかった。
地面が無くて、私は落ちた。
ザブンと水の感触。
飲み込んだ水が苦しい。
吐き出そうにも、どうにもならない。
グッと腕が引かれた。
指に何か冷たいものが絡んで。
濁った水の中、私は見た。
私の手をしっかりと掴む、
白い手を。