ユビキリ。
2:同窓会。
「どうした?真奈。」
問われて、我に返った。
「ううん。昨日も徹夜だったし、ボーッとしてんのよ。」
私が適当にそう答えると、
隣に座っている男は大変なんだねとか何だとか言いながら、
肩や腕に触れて来た。
徹夜だったというのは本当だった。
その理由が、
眠れなかったからだというのは
まぁ言わなければわからないだろう。
同窓会になんて来なければよかった、
と吐きかけたため息を飲み込んだ。
「真奈って彼氏とかいないわけ?」
いつの間にそんな話題になったんだろうか。
「いないよ。作る気もないし。」
そう答えたら、元クラスメイト達は
「やっぱり真奈ってカッコイイ。」
とか何だとか言ってみせた。
皆、大人になった。
同窓会をすると、
小学生の頃に戻るなんて言うけど、
そんなの嘘だって思う。
たしかに懐かしいし、
呼び方も昔のままで、
テンションも少し上がるけれど。
口も上手くなったし、お世辞も覚えた。
小学生の頃は、
もっと世界が狭くて、
やっぱりまだ純粋だった。