*片思い*
優也があたしの腕を掴んで走って来たのは、校舎の一番端のところ窓の前。
何?何?何?
って顔していたあたしに
「郁美ホラっ、見てみろよ」
優也が窓を開けて下を指差した。
「ぅ…わぁーー!!すごぉーい!!!」
それは絶景。
学校の周りの桜の木を一望出来る。
「綺麗ー…」
あたしの視界一面がピンク一色。
初めてこんな綺麗な桜をみた。
「すげぇーだろっ」
「うん!すごいよ!!あたしこんな桜が良く見える場所校内にあるなんて知らなかったよ?」
「うん、俺も知らなかった」
え…?
優也知らなかったの…?
不思議そうなあたしの顔を覗きながら
「靴履いてるときにたまたまみっけた♪」
すげぇな、オイっ…。
しかもたまたまなんだから…。
そんな時チャイムが鳴った。
キーンコーン、カーンコーン
「!!!!!!優也っ!!HRっ!!」
あたしは慌てた。
「おっ!!ヤベっ!!じゃあな、郁美!!」
「う、うん!後でねっ!!」
そう言ってあたしと優也は走ってお互いの教室に向かった。