月の欠片<短編>
しかし、そんな私の興味は一瞬に

して消失してしまった。

インターネットを調べてホームペ

ージを見た私は、愕然とした。し

ばらく私は、何度も間違いじゃな

いかとページを変えては彼の履歴

を調べた。しかしその都度、人懐

こい見知らぬ笑顔の下には、しっ

かりとこう掲載されていた。

「平成11年:窃盗容疑で逮捕、

起訴される。刑務所に2年間服役

する。」



電源が消えたパソコン画面に映っ

た私の顔は、引き吊っていた。

最早そこには、彼に対しての興味

は、欠片も残っていなかった。

無名だから表沙汰にならなかった

だけなのか。

それをいいことに、よくもまあ抜

け抜けとラジオに出ていやがる。


──ふざけた野郎だ。


私は怒りに任せ、愛用していた携

帯式のラジオをフローリングの床

に叩きつけた。黒色のそれは、ガ

チャッという音と共に、一瞬にし

て小さながらくたの山になった。

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