梶山書店物語〈壱〉
「何で?」

30歳になる人が首を傾げる。これも無意識にやってんだから腹が絶つ。

「あの人達って店長狙いじゃないんですか?」

「まぢでか。
ついにモテキだな」

人が真面目に言ってるのに本気にしない。
そりゃそうだよな。
この人、本以外には興味無さそうだし疎そう。

「コミックでも強引な男が人気みたいですけど…」

目の前にあった少女コミックを手に取り、あらすじに目を通す。

「奥村くん?」

「知りませんよ。
世の中は、そんなに上手くは出来てないんですから」





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