梶山書店物語〈壱〉
机に置いてある機械が震え出す。田中くんの携帯。

「店からだ。ちょっとごめんね」

大滝と二人っきりになるなんて御免だけど我慢してやる。
田中くんは小走りに店を出ていく。

「お前、また見合いの話来てるらしいな」

「何で毎回、営業の君が知ってんだよ」

「社長とは仲良くしとくもんだな」

何を考えてんのか、どこまでも腹黒い男だよ。

「知ってんなら、フォローしてる身にもなれ」

「それが、お前の役目だろ」

こいつ、今から殺してもいい?




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