梶山書店物語〈壱〉
「僕が何?」

電話が終わって何故か鞄を持ち出している。

「大滝に田中くんが欲しければ配本増やせって脅してた」

「僕なんかで配本増やしてくれないよ」

照れながら癒しの笑顔を私達に振り撒いている。
この天然が大滝の理性をぐらつかせているのに気付かない。

「ごめんね。何かトラブルあったみたいで少し店に戻るね」

「待ってるから気を付けてな」

「ありがとう、ごめんね」

なんだなんだ、甘い空気なんて醸し出して私は邪魔者かい?




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