梶山書店物語〈壱〉
「こっちは真剣に話してるんですよ」

「…なら、まず一定の距離まで離れてくれるかな?」

抱き締めたまま逃げないようにホールドしたままだった。

手を離した瞬間に外に通じるドアに手をかけていた。

「今は仕事中だ!終わってから話を聞いてやる」

階段を駆け降りて行く音だけが俺の耳に入る。

やっぱり、逃げやがった。

閉店してから覚えとけよ。




< 60 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop