梶山書店物語〈壱〉
「待て待て。誰も好きだなんて言ってねぇからな」

短くなった煙草を灰皿に入れるとジュッと水の中へ消えていく。

「お前、どうしようもない馬鹿なんだな」

盛大に溜め息をつくからライターを着火させて顔に近付けさせた。

「お前の事だからキスの1つや2つされて気付いたんだろ?」

嫌味の如く言われっぱなしだが、これは図星だ。

「いや、ガキの悪ふざけだってあるしな」

「………………」

「何だよ?」




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