梶山書店物語〈壱〉
「痛いんですけど…」

思いっきり頭を叩かれた。
多分、拳で殴られたと思う。

「言っておくが、大滝に騙されてんじゃないよ。
あれは大滝が、わざと奥村くんに怒らすためにした大滝の悪い癖なんだよ。あと、見合いは御機嫌取りに行くだけだ」

早口に俺に伝え、掴んでいた腕をいい加減、離せ、と振りほどこうと必死だ。

「店長」

「な、何だよ」

「好きです」

予期してなかったのか目を真ん丸になっている。
盛大に溜め息ついたかと思うと

「…もう、おばさんをどうさせたいんだよ」





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