2つの魔女
わたしのクラスにいる『魔女』
最近、ウチの高校は一人の女子生徒の話題で持ちきりだ。

「ねぇ、また『魔女』が活躍したらしいよ」

「知ってる。なくした物の場所を、言い当てたらしいぜ。特に学校で無くした物はすぐに見つけてくれるって」

「それにテストの予想問題も当てたって。凄いよね~」

…とまあここまでならまだ良いだろう。

しかし良い話しばかりではない。

「なあ…知ってるか? 『魔女』をバカにしてたヤツら、この間事故で大怪我負ったって」

「他にも両親が離婚とか、親がリストラとか、不幸が続くらしいよぉ」

「何か『魔女』らしいって言ったら、呪われそう! だけどこうも続くとホント怖ーい」

やれやれ。

好奇心旺盛な年頃の口の滑りはとてもいいものだ。

休み時間の教室内で、噂を耳にしながらわたしはペンケースの中をあさる。

探し物は気に入っているピンクのボールペン、イチゴの香り付きで書きやすいが、少々値がはる物だった。

「…あれ? ない?」

机の上にペンケースの中身をぶちまけてみるも、ピンクのボールペンはない。

「どうしたの?」

「探し物?」

近くにいたクラスメート達が、わたしの側に寄って来る。

「なら『魔女』に頼みなよ」

「きっとすぐに見つけてくれるよ」

「『魔女』ねぇ…」
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