2つの魔女
「たかがペン1本だし。それに他に困っている人なんていくらでもいるんだから、そっちを優先させた方が良いと思ったまでよ」

わたしは平然と答えた。

その声は彼女にも届いていたのか、肩が震えて見える。

「もう…!」

「知らないからね!」

「はいはい」

肩を竦めたわたしは、とりあえず今日の行動を振り返ることにした。

朝、学校行く時に確認した時には確かにあった。

その後の授業でもたびたび使った。

最後に使ったのは科学の授業中、実験をしながらノートに書き込んでいた時だ。

「だとすれば落としたかな?」

実験中はバタバタしていたし、教室で見つからないならそこだ。

科学の次は体育だったから、ペンは使わなかったし。

放課後の掃除の時間まで待って、わたしは一階の科学室へ向かった。

科学担当の先生に落し物について聞いたけれど、無いという返事をもらった。

なら掃除中なら見つかるかもしれない。

掃除は1年生が担当をしていたので、ペンのことを説明して、掃除がてら探してもらった。

だけど見つからなかった。

「…チッ。仕方ないから新しいのを買うか」

先週買ったばかりの新品だったけど、気に入りだからアレ以外は使いたくないし。
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