2つの魔女
申し訳なさそうな顔をしている1年生達に礼を言って、わたしは科学室を出た。

そこで思いがけぬ人がわたしを待っていた。

「鈴さん、どうしたの?」

「あのね、美夜さんの探し物ってコレでしょう?」

彼女はウキウキした様子で、一本のペンをわたしに差し出す。

それは愛用している例のボールペンだった。

「教室で見つけたの?」

「と言うことは、なくした物はこれで間違いないのよね?」

疑問を疑問で返さないでほしいんだけどな~。

けれど確かにそうなので、頷いて見せる。

「ええ、確かにコレよ。―で、どこで見つけたの?」

「占いで見つけたのよ」

「具体的には、どこで?」

しかしこの問いには答えず、ただ笑みを浮かべるだけ。

―つまり、言えないんだな。

わたしは深いため息を吐いた。

「とりあえず見つけてくれてありがとう。じゃ」

淡々と礼を言って、わたしは教室に戻ろうと歩きだす。

階段を登ろうとした時、一部始終をそこから見ていたらしいクラスメート達が、黙って手招きしてくる。

「どうしたの?」

「なくした物、見つかった?」

「やっぱり『魔女』が見つけたんでしょう?」
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