二人の王子さま


あたしの目の前にやってくる。


背が高い・・・


あたしの頭がその人の胸の位置くらい。

真っ黒な髪を後ろで束ねている。
それでも腰に届きそうな位長い。


なぜか紺色の浴衣みたいな和服を着ている。









切れ長の真っ黒な瞳で見られると、石になったみたいに動けなくなった。




「お前、まだ子供か。
道に迷ったのか」



無表情のまま、あたしを見下ろすその人。



「こっ、子供じゃないです!これでも18です!」



普段から幼く見られるあたしは、少しイラッとしながら言ってしまった。



「そうか。
で、ここで何をしている」



「わからないです・・・」



素直にそう言うとその人はきょとんとした表情になり


「わからない?お前、何処から来たのだ?」



「何処って・・・東京です。っていうかここはどこですか?
近所にこんなお花畑あったなんて知らなかったんですけど・・・」




こんな人がいるなんて、きっと天国ではないのよね。




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