二人の王子さま
少し慌てたようにそう言うその人。
「す、すみません・・・本当にこんな場所知らなくて・・・」
「・・・・・・」
拭っても拭っても涙は止まらなくて。
これじゃせっかく人に会えたのに逃げられちゃう。
「・・・では、俺のことも知らないのだな?」
「・・・はい・・・」
当たり前だと言うように頷くと、その人はあたしの前まで来て、
いきなりあたしを担ぎ上げた。
「きゃあ!」
「軽いな・・・本当に18なのか?」
「へ!何をしてるんですか!?降ろしてください!」
「このままここに居たら明日まで生きていられないだろう。
俺の屋敷に連れて行く」
「え?明日まで生きられない・・・って?」
「熊や狼。稀に山賊」
何を平然と言うんだこの人は。