二人の王子さま







お風呂に入り遊馬さんの部屋に戻ると、布団が一組敷かれていた。





「あれ、あたし・・・どこで寝ましょう?」



本を読んでいた遊馬さんがしおりを挟んで立ち上がった。



「ここ」



そう言って敷かれている布団を指差した。



「え、遊馬さんは?」



「ここ」



そう言ってまた布団を指差す。



「一緒に寝るのが当たり前だ。だとさ」




「・・・」



一気に顔が赤くなる。




「・・・なんだ、期待してるのか?」





「へ!?」




本を置いてじりじりと迫ってくる遊馬さん。



「何故逃げる?」






「だ、だだだって遊馬さんがこっちに来るからっ!」




壁に追い込まれて身動きが取れない。




「・・・風呂上がりだからなのか、よく見ると帆香は意外と色っぽいな」


「へ!?な、なにを」


顔に全身の熱が集まっているような感覚になる。



壁に両手をつかれあたしを逃がさないようにした遊馬さんは、ニヤリと笑った。
















< 60 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop