二人の王子さま


「・・・悪い夢は人に話すと楽になると言う」

そう言ってあたしの頭を撫でる。

安心する・・・



「・・・ママ・・・あたしの母親なんですけど、よく見るんです。
ママが死んでしまった時の夢・・・」




・・・癌だった。


ギリギリまで我慢して、あたしが産まれる前に亡くなったパパの分まで働いていたママ。


あたしの前ではいつも元気に振る舞っていた。


相当痛かっただろう、とお医者さんに言われても笑っていたママ。


手遅れだった。


告知をされてもいつもと変わらず、そんなママを見ていたあたしは、絶対に治るんだろうと思っていた。




駄目みたい


そう言い残して・・・


ママは死んでしまった。
< 68 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop