二人の王子さま
「今日は町に出てみるか?」
朝食を食べ、部屋に戻ると遊馬さんがそう提案してきた。
「元の世界に戻る手掛かりが見つかるかもしれない」
「遊馬さんはお仕事とか大丈夫なんですか?」
「仕事なんてない。あぁ・・・今は帆香のお守りが仕事か」
クスッと笑いながらそう言った。
「お守りって・・・でも、行ってみたいで・・・行ってみたい!」
頑張って敬語を直さなきゃ、またあれをされてしまう・・・
そんなあたしを見ていた遊馬さんは、フッと笑うと付け加えた。
「そうそう、帆香が敬語を使うか見張らないとならないしな」
「遊馬さん・・・意地悪」
むぅっとふくれてそう言うあたしの頭をポンポンと叩いて
「今更気が付いたのか?」
そう、笑った。