二人の王子さま
「今日は帆香と町を見て回る。
引き続き見張りを頼む」

そう言うと馬を見張りの人に預ける。


「はっ!」


深々とお辞儀をして馬を引いて行ってしまった。



「ねぇ、遊馬さん」

くいくいっと袖を引っ張ると遊馬さんはあたしの手を取り、なんだ?と答えた。


「隣国の人が忍び込むって、入ってきたら駄目ってこと?」

そう問い掛けると、遊馬さんはしばらく考えてから頷いた。


「うむ・・・着ている服も違いすぎるし、父上とあちらの国王とあまり仲が良くないのでな」



「そうなんだ・・・」


「あちらには行くなよ。あちらの王子はかなり女好きらしいからな」

きゅっとあたしの手を握る。


「行かないよ。遊馬さんの恋人ですから」

にっこりと笑ってみせた。





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