二人の王子さま
逃げないと、と立ち上がったあたしの前に現れたのは、
大きな黒い馬。
それに馬に乗っている男の人・・・だった。
びっくりして動けないあたし。
そんなあたしを馬に乗ったまま見下ろすその人。
「何をしている」
低くてよく通る声で、威圧的にそう言われ、
ビクッと肩を震わせてしまった。
「もう一度聞く。
このような時間にこのような場所で何をしている」
「え・・・あの・・・」
あたしが慌ててしまい何も話せないでいると、その人は馬からヒラリと降りた。