二人の王子さま
「え?」
あっち、と言われ意味がわからないでいると、春さんがニコニコしたまま、町とは反対の方を指さした。
「あっちって?」
「帆香、君は瑠璃の国の出身じゃないよね」
「え?」
「なにかおかしいと思ったんだよね。いきなり遊馬様が恋人を家に住まわせるとかさ」
何?
春さんは何が言いたいの?
「ね、帆香はあっちの国の者なんでしょ?」
「え・・・?」
「ねぇ、どんな手を使って遊馬様に取り入ったの?
遊馬様、すっかり帆香に騙されてるよ?」
急に真顔になった春さんは、じりじりとあたしに近付いてきた。
「なにを言ってるんですか?春さん?」
真顔になった春さんの迫力に圧されて、思わず後退りしてしまい、気が付くと崖のような所に追い込まれていた。
「遊馬様の恋人になって、何を企んでいるの?」