再会～初恋のやり直し～
浅野さんと話をした数日後、今度は三好君から連絡があった。

「２人で会えないかな？」

私はなぜかドキッとした。昔もこんなようなことがあった気がしたから。

そう、あれは小学校５年生の３学期の終業式の日だった。１年間の学級委員が終わり、ウキウキしながら家に帰った。やっと何かから開放されたようなそんな気持ちだった。

「由香～、電話よ～。」

母から受話器を渡された。

「山田。三好だけど・・・。２人で合えないかな？」

いつもよりちょっと真剣な声だった。

「何？電話じゃダメなの？」

私はただただ面倒くさかった。

「会いたいんだけど。。。」

三好君は言った。

「うちの娘はそういうのはお断りです。」

と言って母が突然電話を切ってしまった。

私は特に何も言わなかった。そういうものなんだと思い込んでいた。翌年私は私立の女子中学に入学した。それ以来小学校のときの友人に会うことはなかった。

そんな出来事を思い出しながら、彼の「会いたい」という言葉に同返事をしようか考えた。以前の私であれば、断っていたと思う。でも、浅野さんの「殻をやぶかなければ・・・」という言葉を思い出し、「ちゃんと恋愛しなきゃ。」て言葉を思い出し、しばらく考えた。そして長い沈黙のあと私は答えた。

「わかったわ。」

私はようやく気づいた。私は三好君が好きだ。そして市原君も好きだ。でも、どっちの方が好きかって聞かれたらそれは判らない。だから、三好君と２人で会ってみたい。思い切って恋愛してみたい。

「よかった。また切られるかと思った・・・。」

とちょっとホッとしたように三好君が言った。

「ただ近くだとまた変な噂がたつと困るので、少し離れた場所にしましょう。」

噂も困るが市原君に知られたくない気持ちも強かった。私達は翌日、隣町のホテルのラウンジで会うことにした。


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