みるくとりんご[短編]
ちょうど、うとうとと夢の世界に入りかけたころ、ふと気づいたことが一つ。



そういえば、千葉に噂のこと聞くの忘れた。



まあいーや。どうせデマだし。


なんて一人で納得して再び夢の世界に飛び込もうとすると、それを阻止するように、誰かに肩をシャーペンでつつかれた。



「なにさー」



少し不機嫌そうに顔を上げて隣を見ると、千葉がシャーペンを人差し指と中指で挟んで、こちらを見ていた。



どうやら、肩をつついたのは千葉らしい。



「なんか用?」



私がそう言うと、千葉は一枚の紙切れを私に見せた。


「何? マックの割引券じゃん」



「うん。余ってんだよね。コレ」



「それがどしたの?」



「放課後行かね?」



そう言って割引券をピラピラと弄ぶ千葉。

てゆーかコレってもしなくても食事のお誘い?



「アンタとアタシで?」


「うん」




「……いーけど」



素っ気なく返事をすると、千葉は軽く微笑んで『じゃー放課後ね』と言って机に突っ伏した。



よくわかんないけど、暇だからいいかなーなんてノリでオーケーさたけど、よく考えたらなんかデートみたいだな。



なんて、くだらないことを少し思って、私も机に突っ伏した。

-----------------
嬉しい? 嬉しくない? 普通……
< 11 / 31 >

この作品をシェア

pagetop