みるくとりんご[短編]
「それよかアンタって何か噂たくさんあるよね」
甘いシェイクの味を噛み締めながら、私はストレートに一番聞きたかった質問を千葉に投げかけた。
直球すぎるかな? なんて言い終わってから気づいたけど、もう手遅れ。
取り合えずば、千葉の反応を待つのみ。
「なんだ知ってたの?」
が、千葉の反応は案外軽かった。
「まーね」
「アンタ俺によく絡んでくるから噂知らないんだと思ってた」
「まあ知ったっていっても、今日初めて知ったんだけどさ」
なんて興味なさげにストローを加えて答えてやると千葉は、
「怖くなった?」
と、濁りのない笑顔で聞いてきた。
「いや、むしろ親近感わいたかな」
「は? 親近感?」
「うん。私も、本当なら千葉みたいに噂立てられちゃうような女なんだ」
まあ、千葉の噂はデマなんだろうけど、私のは本当。
もっとも、私の秘密は誰も知らないから、噂を立てられることはないけどね。