みるくとりんご[短編]


「あたし、バツイチなんだよね」



「……は?」



千葉は、今までの余裕そうな笑みを濁して目を見開いた。


てゆーか言っちゃったよ。私の秘密。


誰にも言わないって、ずっと心に秘めとこうって自分に誓ったのに。


言っちゃったよ。




「ビックリでしょ? でもホントなんだよ。今私は17歳だけど、16歳の誕生日の日に、一回籍入れてるんだ」




1回、口を割っちゃうともう止まらない。



コイツと居ると、何だかなにもかもどーでも良くなってしまう。



「でもね、なんと2ヶ月で離婚。理由は、相手が海外に行くから。付いてくって言ったけど、行かせてもらえなかった。
多分、私を気遣ってだと思うけど、あんときは悔しかったなー」



なんて言って遠い目で天井を見つめた。


もう一年以上前の出来事なのに、まだ鮮明に思い出せる。


濃かったからなー。あんときの生活は。




「それ、みんな知らねーの?」



「知ってたら私に友達いないだろーね」




そう言っておどけたように笑ってやると、千葉は考え込むように眉をしかめた。



「じゃあ、なんで俺には言ったの?」




なんで? なんて言われても分からない。

ただ、千葉にいは言ってもいいような、そんな感覚に襲われただけ。



だから、



「さあね」



と言って誤魔化した。
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