みるくとりんご[短編]
「それにアンタはこのことみんなにバラしたりしないでしょ?」



「まあね」



そう言って千葉は薄く笑ったので、私は少しだけ安心した。



別に、千葉がみんなにバラすなんて考えてないけど、もしもってことがあるからね。


「それより、アンタは何で噂なんてたてられてんの?」



話を変えて、今度は千葉に問いかけてやると、彼は手に持っていたシェイクをトレイに、トンと小さく音を立てて置いた。



「俺もよく分かんないけど、多分、兄貴が暴走族入ってんのが原因だと思う。
おかげでタバコの匂いは染みつし、家にはバイクたくさん止まってるし。
それに髪も茶色だろ? これ一応地毛なんだけどな……」



そう言って千葉は自分の髪を指で摘んで、弄ぶ。



「地毛なの?」




「うん。俺、ドイツと日本のクォーターだし」


「まじで?」



「まじで」




なるほど、だからこんなに綺麗な顔してんのか。

納得納得。



「髪、黒染めしろって言われてるけど、なんか腹立つからしてないだけ」



「なるほど」




となると、やっぱ噂はデマだったんだ。


ま、そんな気したけどね。


そう1人で納得したとこで、ちょうどシェイクを飲み干した。
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