野良猫族の奮闘記
「ん…」


ここは…?
私は塀を転げ落ちて泣き続けて…気を、失ったの?
ガバッと勢いよく身体を起こす。
全身がズキズキする。
「目が覚めた? 大丈夫?」
上から優しい声が降ってくる。
この声は…?
上を見上げるとそこには女子に人気のとき君がいた。
私はどうやらとき君の膝の上にいるみたい。
普通だったら逆だと思うけど…。



そういえば、私の力の暴走は止まったのかな?
そう思って体を見渡すけど、自分には消えたかなんてわからないし、とき君に見えているなら戻ったのかな。

じゃあ、みんなのところに戻って謝らなきゃ。
とき君のひざのうえから降りようとすると、とき君は慌てて捕まえた。
「ダメだよ。 君の身体は誰にも見えていない。 今行くのは危険だよ」
まだ、見えてないの…?
じゃあなんでとき君は私を見る事ができるんだろう。
その気持ちを見透かしたかのように、とき君がにこりと笑った。
「よく分からないけど、ぼくには見えるみたい。」

救われた、気がした。

何だか、光が差し込んだ気分。

嬉しくなって、私は笑った。

ぱぁぁ、と、体がひかった


きっとこれは、能力が解けるのかな。
…ん? まって今戻ったら…。






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