愛のうた。
数十分走った。
もう、息が切れ始めてる。


やっとの思いで、
河川敷の川原についた。


人気がないこの場所。

川のささやく音だけが聞こえる。



川原の原っぱにうずくまる人物。



「・・・尚?」

振りかえる。




・・・尚だった。


「どうしたの!?
皆、心配したんだよ!?」


その瞳は輝きを失い、
彼の表情は今でも泣きだしそうだった。


全てに失望した抜け殻のような尚。




見てるだけで、私は自然と涙が溢れた。


「尚・・・?」



私は思わず尚を抱きしめた。

冷え切ってる体。


ずっとここにいたの??



私は強く、きつく、尚を抱きしめた。



手には白い封筒を握りしめてる。



「沙知・・・俺、俺」

私に抱きつく尚は変わり果ててた。



今まで見えた事ない弱々しい姿。


これがあなたなの??


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