愛のうた。
「俺、沙知と出逢えて本当良かった。
沙知の幸せが俺の幸せだからさ・・・なっ?」


なんでそんなに優しいの?


二人はおでこをくっつけ合う。


「尚・・・私っ」

「俺は大丈夫だから。
行けよ・・・」


おでこ越しに伝わる尚の温もり。

お互いが近い距離なのに、
一番近いのに。

どんどん遠くなってゆく・・・。



「笑顔で送ってやりてぇんだよ・・・
泣き顔、見られたくねぇんだよ・・・」


尚の声が震える。

頬に涙が伝っていた。


尚が・・・
泣いてる。



私も泣いていた。


二人で、泣いていたんだ。



そっとおでこが離れる。



「行けよ・・・
くっ、・・・っ
はやく・・・行けっ・・・」


尚は私を突き放す。

尚の、気持ち受け取りました。



あなたが泣いてまで、幸せを願うのならば。


私は応えないといけない。



そっと立ちあがり、背中を向けた。

尚も立ちあがり、
私の背中を強く押した。


「尚、ありがとう」

“ごめん”じゃなくて、
“ありがとう”を選んだ。


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