愛のうた。
「っ・・・はぁ」

意識が朦朧とする。




もう、死んでるか生きてるか分からないくらいの境で
脳裏に浮かんだのは沙知の笑顔だった。



笑うと笑窪が可愛くて。
沙知の全てが好きだったんだ。



俺の初恋。
恋の意味も知らずに生まれた恋。



いつしかその意味を知った時、
もどかしくって、
辛くって。



いつだって自分に自信と勇気が持てなかったんだ。



お前はなぁ、
モテたんだよ。



地味だ地味だって言うけど、
お前に恋した男の人数知らないだろ?



盗られたくなくって、必死で。
沙知の周りに俺がバリア張ってたんだ。


ノゾムの気持ちに気付いた時、
無理だって思った。


気づけば行動にうつしてて。




それくらい好きだったんだよ。




愛してた沙知を、
いつだって俺は傷つけてばかりだった。

泣かせて、心ボロボロに壊して。



尚からお前を奪い取った。




俺、最低だ。
本当に俺って情けねーよ。

沙知、ごめんな?



お前の隣に居るって、
離れないって決めたのに。



もう、俺はお前を守れない。

謝ったって、謝り足りない。



だけど。

こんな俺を好きになってくれてありがとう。




それだけで俺は幸せ者だよ。

だから沙知。



俺なんか忘れてくれ。
たまに思い出してくれ。



それだけでいいんだ。
幸せになれよ・・・。


空から見守ってるからさ。






「沙知・・・愛してる・・・」






ピーッピーッピーッ




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