愛のうた。
その時だった。

握りしめてた携帯が音を出した。


咄嗟にシュンだと判断した。

確認もせず、電話に出る。


シュンだよね、シュンだよね!?



「もしもし・・・シュン!?」

『・・・。』



応答はない。

確かに繋がってるはずなのに、無言のまま。


微かに鳴き声は聞こえた気がした。



「どうしたの・・・??
私・・・心配して」

『沙知、あたし・・・ユキ。
あのね・・・シュンが』




電話の相手はユキだった。

電話が切れた途端、頭が真っ白で。


手からするりと鞄が落ちた。


私は地面にへたりつく。


何も、分からない。分かりたくもない。



瞬きもする余裕がないほど、放心状態で。



頭に冷たいものが落ちてゆく。

雪・・・ホワイトクリスマス。


聖なる夜なんかじゃない。
私たちに、



幸せなんか来ない。




< 252 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop