愛のうた。
「ここに、澤俊太郎という人が
搬送されたと聞いたんですけど」


係に人からシュンの病室が608と聞いて、
急いでエレベーターのボタンを押す。


「こない・・・」


早く、早くしないと・・・!!

シュンは、まだきっと生きてる。


私を、待ってるはず。



私は階段を駆け上る。


「・・・はぁ、はぁ」



そしてシュンの病室のドアを開ける。


「シュン!!」




そこには泣き崩れるシュンのお母さん。

それを必死に宥めるお父さん、恋花ちゃん。


ノゾム君に抱きつき嗚咽を漏らしてるナナ。
あのノゾム君が泣いていて。

パイプ椅子に座って頭を抱えるヨウタ。

しゃがんで子供のように泣きじゃくってるユキ。



皆、皆泣いていた。



なんで・・・泣いてるの?

「沙知・・・
シュンだめだった。」


ナナの嗚咽交じりの小さな声が
耳に届く。


私はベットへ駆けていき、
シュンを見つめる。


まるで眠ってるかのように安らかで。
死んでるわけ・・・ないでしょ??


目の前のシュンはちゃんと私の中の
シュンなのに、

心電図は0で・・・。
息もしてなくて・・・。



「シュン、女の子かばって車にひかれて。
手術して、危篤状態だった・・・。
でも意識があったの。
あたしたちは恋花ちゃんがノゾムに連絡して知って、
沙知に連絡しようと思った・・・。
だけど・・・」


何も分からない。
聞こえない・・・聞きたくない!!


どうしてよ。
時計台なんかで待ち合わせしなければ、
もっと連絡してたら、

あの横断歩道で引っかからなければ、
転ばなければ。

階段なんかで病室来なければ、
シュンに逢えた・・・??



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