愛のうた。
「・・・っなんでぇ?
なんで、言ってくれなかったの??」

「シュンが言うなって・・・。
俺は大丈夫だからって・・・」


ひどいよ。
なんで最後までそんなに優しいの?

ずるい、ずるすぎる。



「シュン・・・私だよ?沙知だよ?
一緒にデートするんじゃなかったの?
雪降ったよ・・・ホワイトクリスマスだよ。

ねぇ、起きようよ。
生きてるでしょ?寝てるだけでしょ・・・?
・・・っ、・・・・。
そうだよね?
早く、目覚ましてよぉ。
死んでなんかないよね?
・・・・っ死なないでぇ!!!」


シュンの体を揺さぶる。
反応なし。


シュンの唇にキスをする。
・・・反応なし。


あんなにも優しくて、強くて、
そんなシュンが死ぬはずないじゃん!!


私の・・・
私の・・・

英雄なんだよ。



「・・・シュンッッ!!
死なないで、置いてかないでぇ!
うわあああああああっ」


病室中に私の泣き叫ぶ声。


「・・・沙知姉ちゃん、これ」



恋花ちゃんがピンクの紙袋を私に差し出す。
紙袋にはところどころ血が付いている。


「これ、兄貴が最後に持ってたものなの。
救急車で運ばれてる時も、大事に抱きしめてた。
多分、沙知姉ちゃんへのプレゼントだと思う」


「・・・え・・・??」







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